中小企業診断士/行政書士中村事務所

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父から息子への事業承継は簡単そうで難しいもの!

「事業承継」は今後の日本経済を揺るがすことになる大きな問題である。

そして、この問題を放置するとGDPで22兆円、雇用で650万人を喪失することになる。事業承継の大切さは数字が如実に物語る。

 

 

会社の相続: 事業承継のトラブル解決

会社の相続: 事業承継のトラブル解決

 

 

一般的な家族関係を考えると、父と息子の間は、母と娘・息子といった関係と違い、意外に距離感があるものだ。父親は仕事ばかりで、子供の世話を母親に任せがちになるので、母親と子供たちの距離は近く、父親とは遠い距離にあるのは当然であろう。

 

自営業の父親は、息子が家業を継いでくれるものだから、わざわざ伝えなくても、男同士だから分かってくれているだろう、と勝手な思い込みをしてはいけない。

 

事業承継で当然に継いでくれると思っている父。だが息子は今の仕事と安定した生活に満足し継ぐ気はない。息子の家族も安定を放り出し、いくら家業とはいえ火中の栗を拾うことには猛反対で、もし強行にするとなると家庭崩壊になるから息子もそこまでリスクを背負えない。

 

父親も息子に事業承継についての話をしたいが、照れくさくて喋れないし、断れたらと嫌だからと言い出しにくいようだ。そして双方が真剣にこの話をせずに逃げているで、時間だけが過ぎている。

そういった自らに後継者である子供が存在しているのに、継いでもらえず後継者不在の為に黒字なのに廃業せざる負えない中小企業がある一方で、そうでない事例もある。

 

それは、可愛い我が子が家業を継ぎたいと言ってくれ喜ぶ中小企業社長の例である。その会社の社長は既に中小企業の平均引退年齢である70歳を超えており、後継社長の育成には5年~10年の年月が必要とされる中、自分の年齢や体力に限界がきていて会社の将来をどうするか悩んでいる。また継いでくれると意思表示をしてくれた我が子は、まだまだ未熟で重責を担える人間ではない気がする。社長の息子だから次期社長ができるといった甘い社会ではない。

 

自分の子供は可愛いものでできるなら自分が苦労して創り上げた会社を息子に継がせたいものだ。そして息子も家業を継ぐ意欲と覚悟は示してくれたが、どう考えても社長の器ではないし能力的にも任せられない。

 

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この能力のミスマッチは親の力で何とかしたいものだが、ここまで会社がこれたのは自分を支えてくれた番頭や従業員の支えがあったからこそと感謝もしている。その為、家族経営を強引に打ち出し、その従業員達の気持ちを無視したくないので複雑なものである。

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社内のコア人材などに意見を聞くが、皆が異口同音に社長不在の時に代理をしている番頭的存在の人が次期社長にふさわしいとの意見である。

 

社長の息子は既に会社に入り、各部署をローテーションで経験を積んだり、外に経営者教育を受けさせたりと後継者教育をしてはいるが、有する知識・経験からまだ相当時間を要するといった評価である。また社長の器ではないんではないか、との意見も多く経営者も頭を悩めている。それは一から創業したカリスマ社長とどうしても比較してしまう点が多くそれは誰でも気の毒な一面もある。

 

事業承継法務のすべて

事業承継法務のすべて

 

 

 

社長も息子が経営者としてやれるまで自分が社長を続行するという選択肢もあるが、年齢的そして最近健康に不安があるといった状態なので悠長にしていられない。結局、社長職を息子が育つまでの繫ぎとして番頭に任せ、息子は株主&形だけ取締役にすることにした。

 

社長になれなかった息子も存在感を発揮する為、経営に関与しようと口を出すが、新社長など新たな経営陣からは邪魔がられる。新社長は息子に対して「実務に精通している私たちが中心となって円滑に業務を執行するから、息子さんはゆっくりとしていて下さい」と説得するが、息子も自分の会社という意識が強く素直に聞き入れない。

 

 

双方が譲らず覇権争いに奔走するなど、社内には不穏な雰囲気が蔓延しており、それが嫌で離職者も出てきている。息子も株主でありながら株式数を絶対的な議決権を有するまで保有していないので、自分が思うようには進まず、地団駄を踏んでいる状態だ。この本業とは関係のない場外乱闘で社内が一丸となれず業績も低下し雰囲気も最悪でなかなかこの状態を脱することは難しくなっている。

 

もっと早く事業承継に取り組み、合理的な後継者の選定と育成をやっていればこんなお粗末なことにならなかったであろうと前社長は後悔している。「後悔先に立たず」とはこのことで、会社にとっても、創業家にとっても、利害関係者にとっても大きな損失である。