中小企業診断士/行政書士中村事務所

頑張る中小企業と中小企業診断士/行政書士の資格取得を目指す人を応援するブログです。

居抜き物件には要注意!(下)

・・・・続く

 

しかし案の定、私の思惑とは異なり、その店は来店客数が想定外に少なかった。飲食店(焼肉店)は当然に地域密着で事業展開せねば生存は困難なので、必死に地元のイベントや特に商店街への活動には協力していき地域の皆さんに可愛がってもらえる店づくりを初心に立ち戻って必死にやった。その甲斐あって何とか採算ぎりぎりのラインには乗せることはできたが、まだまだの状態である。

 

 

 

「石の上にも3年」と思い、3年は歯を食いしばり頑張ったが、これ以上の売上・利益の増大は見込めないのではと思うようになった。将来的にこの店をどうしようかと悩んでいた時に、ある日、肉を納品してくれていた肉卸さんと雑談する機会があった。

 

その時、その卸さんから「今は肉の卸をしているが、将来的には焼肉店をやりたいという夢を持っている。自分には息子がおり、今、飲食店(イタリアン)に調理師として働いているが、その息子に焼肉店をやらせて、自分は肉の卸をそのまま続け、卸・小売・焼肉店と収益機会を増大していきたいと思っている。」との将来ビジョンを聞き、私は「それではこの店をやらないか」と話を持ち掛けた。

 

肉の卸をして当店に納品しているからある程度の売上は分かっているのだろうが、それでもやるという事は自分でやっても、勝算があると見込んでいるんであろう。私も全面的にサポートするし、自分ではノウハウがあっても、やっていなかった事を伝授するからと話した。そして、肉の卸さんの夢の実現に向けて、これから話を煮詰めていこうと約束をした。

 

熟慮を重ねてきた先方さんから譲ってほしいとの事になり、造作物+営業権の譲渡契約を締結した。物件の賃貸借契約は管理会社を通してやってもらうことになり、1か月後の譲渡となった。実際に運営する息子さんの研修としてその前に当店に入店してもらいキッチンとホールの研修をする予定となった。

 

 

 

店の譲渡価額は500万、この店をこれ以上磨き上げても更なる上乗せは無理と判断し譲渡を決めた。店の厨房機器はリースによるものが多く、譲渡価額の殆どが営業権のような譲渡契約だが、飲食店経営が素人のような人たちなので、開業後の一年は有償だがサポートすることにした。

 

だが、父の構想や事業計画は大したものだが、息子のそれを親子で実現するといった覚悟や意欲が見受けられない感じがした。案の定、寝坊して開店時間を遅らせたり、厨房内の清掃を怠り食中毒を発生しかねない状態にしたりと店舗経営者の資質に欠けるような息子であった。

 

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父には私の方から実態を報告し、注意喚起してもらうようにしたが、中々変わることはなかった。そして私が開業後一年のサポートが終わり、店を去った一年後に、とうとうギブアップをされたのである。

 

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父から私に報告があり、賃貸借契約は個別に結んでいただろうから私は撤退時に於いては、あまり関与しないことにしていた。それでも撤退する日には店に顔を出したが、総て段取りは先方さんがやっていたので私はその場では口を出さなかった。店内からリース冷蔵庫を搬出していたので、「リース会社とは話がついてるの」と問うと、「はい大丈夫です」との事だったので安心していたものである。

 

ところが1年後、物件の大家さんが自分が取り付けていた冷蔵庫はどうしたのかと言い出してきたのだ。最初は私も随分前の事なので何のことを言ってるのか理解できなかった。記憶を遡るのに時間を要したが、思い出せば私が開業する前に厨房メーカーにその中古冷蔵庫の状態を確認してもらったら、古く暫く使用していなかった為、電源を切った状態だから使用するのは困難だとの事だった。

 

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だから、厨房内の危機は殆ど使用できないと判断し、総てを一新しそれをリース契約したのであった。それを大家に報告をして了承を取っていたはずであり、またその冷蔵庫の搬出・搬入の際に大家さんも立ち会っていたはずである。それを忘れたと、とぼけたふりをしているのか今更何を言うである。

 

不動産管理会社の担当者・大家さん・私・承継者と4人で話をしたら、大家さんがとにかく冷蔵庫を戻してくれとの一点張りだ。そして、それをしなければ裁判すると相当な剣幕であった。エアコンを設置してあげたのに、そのことに関してはラッキーだと思っているのか、何も言わない。

 

 

 

これ以上話しても水掛け論である。私はその時のやり取りをじっくり思い出しながら、時系列にその時の経緯とこちら側の言い分をまとめて意見書とし、不動産屋さんを通して、大家さんに提出した。

 

その中には、原状回復義務についても述べており、「どこまで原状回復するのか、ゴキブリだらけだった店だが、そのゴキブリも元に戻すのか」とも意見したものであった。その意見書の提出からは何の連絡もなく、こちら側も何の行動も起こさなかったので、今や時効成立である。

 

考えれば私の後を承継したその肉屋さんがリース会社の撤収させなくてもどうせリース料金を払うのだから、搬出させずにそのままの状態にしておけばよかったのである。まさかの出来事と無知な承継者によるお粗末な話であった。

 

 

 

飲食店の開廃業率は著しく高い。開業しやすい反面、継続しにくいのである。1年で50%、10年で10%の生存率。飲食店の開業率は11.2%で廃業率が24.4%であることから、1年で開業する店舗の2倍以上が廃業している計算だ。少子高齢化・人口減少への対応・縮小商圏の深耕で地域密着化・個性化による競合他店との差別化・ニーズ多様化への対応・中食への対抗(外食のレジャー化)、などを上手くやった店が生き残るだろう。

 

居抜きを使って低コストで参入したいというのはよくわかるが、そればかりに固執していると店を繁盛させるという目的など大きなものを失うことになるので要注意だ。今までのセオリーが通じない今後の外食業界。知恵を使って生き残りを図らねば。