中小企業診断士/行政書士中村事務所

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企業が抱えるしがらみが成長投資を阻む(上)

「企業が抱えるしがらみが成長投資を阻む」とはよくいうもの。

 

そのしがらみは、事業・組織・顧客の3つ。

まずは「既存事業のしがらみ」

 

既存事業から安定的に得られる収益に比べ、新規事業からの収益は不確実性が高く、それだけリスクも内包する。資金繰りが厳しく、収益圧力がかかる状況の会社は、コア事業に替わる第二の柱としての必要性は認識しながらも、新規事業への投資配分を困難にする。

 

そして課題を先伸ばす内に、競合他社が足早に新事業に参入し、新たな市場でのポジショニングを取ってしまい、追随を困難にするのである。

 

 

 

 

「組織のしがらみ」とは、既存の組織能力を無力化するような投資を阻むようになることである。

 

AIに代替可能な業務も既存の組織や雇用を守るために、あえて導入しないこともある。中長期的視野に基づいて組織能力を高めるには、AIに代替できる業務は代替させ、既存の人達は、付加価値の高いクリエイティブな業務に取り組むようにしなければいけない。

 

 

 

 

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「顧客のしがらみ」とは、顧客の声に耳を傾けよとはよく言うものだ。しかし既存顧客の声に耳を傾け過ぎ、その声に愚直に対応するあまり、それだけの対応に終始する。その結果、まだ顕在化していない潜在的ニーズを取りこぼし、利益は頭打ちとなり、将来利益を失ってしまう。

 

飲食店で常連客の意見ばかり反映したメニューなどの店づくりをして、マニアックな店となって一般客を失うケースはよくある。確かにそれはそれで、専門特化した業態として確立していれば、それに見合ったこだわり客を集客できる場合もあるが、失うものも大きいことを自覚しないといけない。

 

また、モノづくりの世界でも、「顧客の声に耳を傾けよ」とそれを徹底して、従来型技術の延長線上にある漸進的イノベーション(改良型)に専念している内に、革新的技術革新で新市場を開拓した企業に差をつけられたというのはよくある話である。

 

日本は「カイゼン」という名の持続的・改良的なイノベーションにこだわり過ぎる点をよく指摘される。だから既存企業から「新規事業は生まれにくい」という構造になっているかもしれない。

 

 

「イノベーション・ジレンマ」とは、顧客ニーズを取り入れた新機能の付与や新技術による性能向上に注力することで、シェアを確保しようとする経営判断が失敗を招くという現象を指す。イノベーションにより登場した優れた製品・サービスは、従来製品とは異なり、斬新な発想に基づき、機能・性能とも優れている画期的な製品・サービスだが、これらの製品・サービスが多くの収益を上げるには、多額の費用と多くの時間を要するので、どうしても不確実性を伴うこととなる。

 

その為、株主などの利害関係者に利益を還元する義務を担う大企業や優良企業は、経済合理性の観点からイノベーションも既存技術の向上や高機能化を優先する傾向にある。また、「高機能・高価格を求める主要顧客を抱えている」という慢心から、新たに参入する新興企業やベンチャー企業の事業や技術を過小評価し、新興市場への参入が遅れるという点もイノベーションのジレンマとされている。

 

その結果、新興企業やベンチャー企業によりもたらされた破壊的技術(市場を一変させる破壊技術)により、シェアを失い、経営不振に陥るといった大企業ならではの問題を露呈する結果となるのである。

 

・・・・・続く