中小企業診断士/行政書士中村事務所

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開業率が高い飲食業界は廃業率も高い!

経済も成熟化し、外食慣れしたライフスタイルが定着した日本。品質に対して、世界一厳しい目を持つ日本人を相手に商売する外食店の競争は厳しい。安くておいしくて雰囲気がいいだけでは勝てない。何故なら、どこも美味しい料理を提供するのは当たり前で、逆に不味い店を探す方が苦労する外食環境だからだ。

 

 

はじめての人の飲食店開業塾 (まずはこの本から!)

はじめての人の飲食店開業塾 (まずはこの本から!)

  • 作者:赤沼 慎太郎
  • 出版社/メーカー: かんき出版
  • 発売日: 2009/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
飲食店開業・経営の成功メソッド

飲食店開業・経営の成功メソッド

  • 作者:鬼頭 宏昌
  • 出版社/メーカー: かんき出版
  • 発売日: 2015/11/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

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飲食店は価格・商品・サービス・雰囲気の良し悪しで勝負が決まる。持続的な競争上の差別的優位性を確保するにはこれらを鍛えるのは必須だ。

 

そして数値としては、一人当たりの粗利益と客席回転率で評価するもの。小売店で交差比率(粗利益×商品回転率)が経営指標として注目されるが、飲食店も粗利益と回転率を重視するのは当然だ。

 

*交差比率とは、在庫と商品の効率を見るもので、商品への在庫投資がどれだけの粗利益をあげているかを示すもので特に小売業において重要視される指標である。

 

 

 

高粗利益商品の販売率を高めていく事が理想的な運営であるが、そこは外食に精通しているお客さんが多い日本。そう簡単には儲けさせてくれないのが実情である。

 

だから日常では、味わえない高級感漂う快適な雰囲気、高品質の食材に熟練調理技術者の技術、熟練接客員のサービスなどで付加価値を高めて、高くても納得できる店づくりをしなければならない。

 

 

これはけっこう大変なことで、イニシャルコストとランニングコストの負担が大きい。人件費や減価償却なども大きく損益分岐点の高い店となり、売上が伸びればいいが、下降気味になると経営の舵取りが難しい。

 

中長期的視野に基づいて売上向上の施策を実施するか、目先の利益を重視する為に負のリストラをするのか難しい判断を迫られる。

 

 

そういった高級レストランはともかく、通常の専門店やファミレス・ファストフードなどは、商品ABC分析で販売動向と粗利益の状態を分析しながら売れ筋商品と死に筋商品を把握しながら、商品政策を検討する。

 

 

しかし、これらも儲けを優先するばかりに店のコンセプトから逸脱した店に陥ることもあるから要注意である。だから店の利益に一喜一憂することなく、環境変化に適合させながら自店のストアコンセプトの実現に向けて整合性ある政策が必要である。

 

 

 

 

 

回転率で最も分かりやすいのが牛丼チェーンだ。注文をすると1分で商品が提供される。定食のような多少時間かかるものでも徹底した事前準備と簡略化したオペレーションで、5分もあれば出てくる。

 

 

昔、吉野家が「早い安いうまい」で注目されていた頃、特に駅前立地やビジネス立地の昼のピーク時は一つの席で一時間に6回転させると言われていた。

 

要は10分に1度、お客さんが入れ替る計算だ。その為に品ぞろえを絞り1分で料理を提供できるようオペレーションや店舗レイアウトの設計をしてあったのだ。

 

IEに基づき、工程分析や動作研究を徹底し、ムリ・ムダ・ムラの排除があったから実現できた事である。

 

吉野家の店長の年収は1.000万と言われ、我々、他の外食チェーン店は吉野家ごときの安売り店の店長が、なぜ1.000万の年収がもらえるのかと妬み悔しがったものである。

 

しかし、あるモデル店の収益モデルを見せられ、なるほどなと納得したもので、自分達も効率的なオペレーションを確立させ、年収アップをとみんなで知恵を出し合ったものであった。

 

但し、今は牛丼チェーンもメニューが豊富なファミレス化しているので、オペレーションが複雑化し、昔のままでは運営できないようだ。そして、これらが従業員の負担や客席回転率の低下を招いているようで今後の課題になっている。

 

 

 

 

これに対して、ビックボーイというファミレスレストランはとにかく料理の提供が遅かった。その店はサラダバーやスープバーが設置されており、それが店の特徴でもあったが、この料理提供スピードが遅いから、お客さんが何回もサラダやスープをお替りし、メイン料理が来た頃は、みんなが満腹で食べ残したものだった。

 

そのせいでスープやサラダの食べられ過ぎで原価率が高くなり、只でさえファミレスの利益率は低いのにそれらの原因で殆ど利益が出なかったと聞いている。

 

外食のFLコスト(原価+人件費)は60%内に抑制しなければ採算が取れない。業態にも寄るが、原価は一般的に30%~40%が目安だ。中には回転寿司のように50%という業態もある。

 

平均営業利益率は10%位で、これは大型店になるほど低下する傾向にある。コンパクトな店の方が効率的なのは分かる事だが、大型店は利益率より利益額を重視するからやむを得ない。

 

 

 

焼肉店で特選カルビの方が原価率は高く、並カルビの方が原価率が低いが、粗利益額が高いから特選カルビを積極的に推奨していくのだ。そこに回転率をかけて、粗利益総額で考えれば、その他経費の支払い原資が多く確保できる計算である。

 

回転寿司でも10%の原価もあれば70%の原価の商品もある。それらをうまく組み合わせて計画ミックス原価率50%を実現しているのだ。こういう高原価店は接客や調理の機械化・自動化などで人件費を抑え、利益を確保する努力をしている。因みに回転ずしの平均営業利益率は5%だ。

 

 

 

参入が容易で開業率が最も高い外食店。居抜き物件をうまく活用すれば投資回収も早く、経営が軌道に乗りやすい事もある。

 

しかし廃業率が高いのも特徴。1年で35%、2年以内で50%、3年で70%が廃業する。10年で10%の生存率。

 

顧客満足と看板を上げながら、自分満足の店は消えるのが早い。魂を注入して存続する店づくりにしなければいけない。