中小企業診断士/行政書士中村事務所

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事業承継の対策を怠った人気飲食店。経営者の急死で内紛が発生!

 

食べログでも話題である行列のできる焼肉店。老舗焼肉店で修業を積んだ調理長の兄が出資し、兄が経営者、弟が調理長として5年前に開業した。高品質の焼肉と相性のいいタレ・老舗焼肉店で修業を積んだ熟練技が光る一品料理などが話題となり、瞬く間に人気店になった。

 

 

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商売繁盛の日々で順風満帆な経営であった。店に勢いが出て2店舗目の出店という共通目標も設定し、兄弟の絆が深くなっていった。本来、調理長の弟が自ら経営したかったのだが、調理としての腕はあっても経営の才覚がなく、また資金もない状態で兄に泣きついたのだ。

 

資金も潤沢になり次の出店候補地を探索している時、経営者の兄が移動中に交通事故で急死してしまった。経営者の兄は6年前し離婚し、23歳の娘が一人いる。相続人はその娘だけで、相続財産の一部である店も娘が相続する事になった。

 

 

 

娘は大学を卒業したばかりで店を手伝っていた。店の実際の運営は叔父である料理長が仕切っており、従業員全員が料理長のリーダーシップの元、一生懸命に店を支えてくれていた。暫くして店も日常に戻りつつもあった時に事件が発生。

 

後継者である娘と料理長の叔父が経営のことで衝突したのである。娘は大学では経営学部の出身で少しは経営知識を有しており、叔父のずさんな原価管理によく意見していたが、それが叔父としては前から気に入らなかったようである。今回その不満が一気に爆発したようだ。

 

ある日ついに二人が衝突し、叔父が従業員全員が自分の味方になってくれているのをいいことに、娘に従業員全員を連れ店を辞めると言い放った。慌てた娘が店の運営を重視する為に、一歩下がり私のところに相談に来たのであった。話を聞けば経営者でありながら、力関係が逆転しており、叔父にいいようにあしらわれていたような感じの娘であった。

 

 

 

娘の怒りは理解できるが、店は娘がいなくても経営できるのが現実で、経営者としての立場は難しい状況に追い込まれている。料理長の叔父が組合もどきを結成し、経営者の娘に労働条件も含めてわがまま放題を言うようになり、娘としては八方ふさがりの状態だ。店に顔を出せば四面楚歌の状態で娘も段々と鬱状態に陥っていた。

 

店を仕切っていた叔父に完全に店を乗っ取られた状態。その打開策をどうするか打ち合わせをした。娘としては、「父の思い入れがる店の存続はさせたい。叔父さんとはもう一緒にしたくない。しかし店は叔父さんがいなければ運営できない状態。」に悩み苦しむ。

 

お互いの感情のもつれから、信頼関係は完全に破壊されており、関係修復は困難である。お互いが譲らない状態で訴訟に発展すれば店のイメージ低下になる。それらを踏まえての苦渋の選択は、店の売却である。

 

これだけの繁盛店、しかも運営者付き焼肉店として売りに出せば買手もあるだろうと判断し決断した。売却後、新オーナーが叔父に運営委託するのもいいだろう。今の実績から勘案すれば、新オーナーも1年〜2年程度の投資回収速度を期待できる筈である。

 

 

 

 

 

 

 

今回は、人気焼肉店の見苦しいお家騒動であるが、赤の他人と違い親族同士の揉め事は禍根を残すことにもなり、後々の付き合いが大変だ。経営者も元気だから大丈夫と過信して、不測の事態に対する対策を何も講じていないと残された者たちが気の毒なことになる。

 

「備えあれば患いなし」で、まだまだ若く元気でも、人間いつどうなるかわからない。不慮な事故に巻き込まれるかもしれないので、自分の身に何か起こった時の対策、特に事業承継の対策はきちんと講じておいた方がいいと思った。