中小企業診断士/行政書士中村事務所

頑張る中小企業と中小企業診断士/行政書士の資格取得を目指す人を応援するブログです。

正直に経営しなければみんなが離れていく!(下)

 

 

前回から続く・・・・・・・・・・

 

 

 

 

売上入金が困難になってしまった社長。社内に留保金がなくどうしようもなくなった社長は、虚偽の資金繰り予定表を作成し、仲のいい複数のゼネコン工事長にも直接、運転資金を借りに回ったのである。

 

そして借りるだけ借り、下請からの請求には未払いの状態で、且つ、前月度の仕掛工事に対する元請からの売上入金を持ち、ついに事務所を閉鎖して逃げたのである。ゼネコン工事長達も資金繰り状態が厳しいのが常態化した会社だが、何だかんだ言って今まで潰れることなくやってきており、今の工事は順調だからとの説明を受ければ貸し倒れになることはないと思って貸したようでショックを隠せない状態だ。

 

 

会社は生き返る カリスマドクターによる中小企業再生の記録

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実践的中小企業再生論〔改訂版〕~「再生計画」策定の理論と実務~

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事務所は電気がつけっぱなしの状態で、最初は債権者達も社長が中にいると思い、ドアを叩いていたが、物音が一切せず、どうも慌てて逃げたので電気を消し忘れたようなので、みんながため息と共にその事務所を後にした。

 

 

連絡が取れなくなりみんなが一斉に詐欺だと騒ぎだし、警察に駆け込む下請業者もいた。しかし詐欺を立証するのが困難だということであった。ゼネコン幹部社員も私的な金の貸し借りをしていたことが発覚するのを恐れ、泣き寝入りとなってしまう事態に地団駄を踏む。こうなると「後悔先に立たず」である。

 

本当に酷い話で犠牲になった人は気の毒である。犠牲にならず助かった人達は、犠牲になった人達に、「だからこの会社と関わり合いになったらダメと忠告したんだ。」と言っていたが、犠牲者たちは、一見人がよさそうなこの社長に見事に騙されたのである。中には支払いは悪いが、どんぶり勘定的で高額請求してもチェックしない、いい加減な社長を利用し、最後にやられた人もいるようだ。

 

取引相手の与信管理と債権管理をきっちりしていないと一生懸命した仕事が総て無駄になる。

 

建設業許可を持つ事業者の中でも、スーパーゼネコンの一次請負をしている会社とは、安全安心の一定要件を備えて取引承認や許可を受けている為、経営面、技術面、管理体制の面に於いて、「お墨付き」を受けている状態である。しかしその「信頼の証」と大手ゼネコンとの取引実績を武器に、下請業者を信用させて仕事をさせ、支払いもせずに破産申し立てをした今回の一次請負会社だがその実態を見抜くのは大変だ。

 

 

 

下請け業者にはさんざん支払いを遅らせておいて、「次の工事代金の入金の時に溜まっていたいる分も一斉に払うから」と、工事をさせるだけさせていた。下請けも請求の殆どが労務費なので、支払いをしてもらわなかったら、先出しの状態となり、その分の現金ストックが必要となる。

 

しかし実際にはそんなに現金を持つ余裕のある下請けは存在しない。中には消費者金融から借り入れして支払う下請けもある。そして、結局その悪徳会社は、大手ゼネコンからの工事代金の入金日に、その入金額全部を持って姿をくらまし、1か月後、弁護士を立てて破産申し立ての申請をしたのである。

 

びっくりするくらい姑息なやり方をするものだ。見事な詐害行為だが警察が相手をしてくれず、みんなが泣き寝入りする事となった。建設業界の下請け分業構造ではいくら取引先が上位のポジショニングにいようが決して信用はできないものである。取りあえずは大手ゼネコンが工事が止まるのを恐れ、下請けへの未払い分を、立て替えてくれたので事なき得たが、気をつけなければいけない。

 

 

 

今まで支えてきてくれた下請け業者への支払いを遅らせ、仕事をさせるだけさせて、また「手形が落ちないと会社が倒産する。そうなると溜まっている御社への支払いができなくなる」と言って、その未払い金を人質にその手形決済金を出させてきた悪徳建設会社。

 

元請からの入金日に、下請け業者への支払いもせずに、その金を持って忽然と姿を消した。一か月後に代理人弁護士を通じて破産申し立てをした事の通知が各債権者に送られてきた。聞けば多くの個人からも金を借りまくっていて負債総額は2億円との事である。皆が呆気にとられた計画的な詐害行為である。

 

 

金を借りた中には、その会社に勤めていて労災事故に遭遇し、元請から多額の賠償金をもらった人からのお金もあった。その人は障害等級5級が認定されもう建設現場では働くことができない体になっていたから、これから先どうするのか不安でしょうがないと語っていた。

 

貸し付けの際、決算書を見せられたがそんなに借入金はなく、すぐ返済できるからとその根拠となる先の資金繰り表も見せられて、それならばと貸したそうであった。その負債総額を聞き、そんなに借金があったとは知らされておらず、もちろんそんな借金があったら貸していないとの事だ。

 

そんな虚偽説明に騙された自分に腹が立つと共に、騙したその悪徳社長に強い憤りを感じているのは当然だろう。

 

 

 

元請も大きな被害者である。下請け業者に支払いもせず失踪してしまい、業者から元請に苦情が来たので、工事が止まるのを恐れた元請が業者たちへの支払いを保証すると約束した。そして警察に被害届を出したが、詐欺事件として取り上げてもらえなかったらしい。

また債権者の一人は病気を患い、もう働けない状態になってしまい、その退職金を総てその会社に巻き上げられ、今や自暴自棄になっている。とにかく口と同情を誘う演技がうまいようだ。

もちろん騙された本人達も問題があるが、そういう人達から金を借り、もし会社が破産したらその満足に働けない人たちへの返済はどうするのか、その人たちの今後の生活はどうなるのか、全く考えていない無責任極まりない悪徳社長。

 

また計画的に仕組まれたこの詐欺まがいの破産だが、一部の人間の協力を得る為に偏波弁済をしているなど不公平な行動も大きな問題だ。それを全く問題にしない代理人と管財人には首をかしげる。

 

 

 

一生懸命頑張って経営して倒産したのなら、やむを得ないが、乱脈経営や詐欺的行為で人から金を借りまくり、個人と法人が別人格であるのを利用してこのような法的手段で処理をしようなんてとんでもない話である。

「下請けには金を払わず、しつこく代金請求する下請けには仕事にケチをつけ、それを根拠に値引きしたり支払いを拒否しようとする。従業員には給料を半年分遅らせ、時には小口現金も立て替えらせる。

 

人になつくのがうまくて元請担当者やその他個人からも金を借りまくる。愛人を会社の事務員にする。」といったように枚挙に暇がない。この悪事だらけの社会常識を逸脱した愚か者社長である。愛人にも別会社を設立させて社長に就任させ、不透明な金のやり取りをしていたようだ。この愛人の会社もこの会社の破産申し立ての8か月後に同様に破産申し立てをしている。

 

 

 

 

 

 

(まとめ)

 

 創業当初は現場第一主義で工事力の高さで定評のあった社長。業歴を重ね仕事への熱意がなくなったのか、それとも楽を覚えたのか、7年目となった今、いつの間にか現場を社員に任せっきりにしたり業者へ丸投げしたりして、工事の瑕疵が問題となると例が多発するようになった。悪評が浸透し受注の目減りを補完しようと取引先への接待攻勢。受注したのは二束三文の仕事ばかり。初心に立ち戻り必死な経営をしていれば法的整理などすることはなかったろう。まさしく「因果応報」である。

 

「因果応報とは、人に対して善い行いをすれば善い報い、悪い行いをすれば悪い報い、行いに応じた報いがあることである。多くの人から借金している社長が、元請からの入金と同時に下請先に支払いもせず姿を消しその後、自らは民事再生、会社は破産申立てと姑息な手段で責任を逃れようとした。

 

 

 

 

そんな悪徳会社だが、申し立てから1年後の今月に免責が決定した。こんな悪事を繰り返した会社が免責されるとは社会正義に反することであり、真面目に生きるものがバカを見るのかなと思ってしまう。

 

代理人弁護士から最初に来た通知、破産管財人からの通知に憤った債権者達がそれぞれの弁護士に詐害行為であると異議申し立てをしたが、相手にされず粛々と手続きが進んだようだ。「弱者を切り捨て悪人を助ける」といった今回の免責決定に、社会に対する矛盾を感じた多くの債権者達。

 

なぜこんな奴まで法律は助けるのか。代理人弁護士と破産管財人の事務的・義務的な仕事の進め方には呆れるだけであった。弁護士先生も忙しいからこんな金にならない事件に関わっていたくないのだろう。

 

同様に破産申し立てをしていた愛人の会社だが、辻褄の合わない虚偽説明で最初に委任した弁護士から嫌気され契約を解除されていた。詐害行為の天罰が下ったのだろう。債権者達もそれを直接その弁護士から聞き、「そんな悪事をした人間を法は助けることはない」と皆が言い放って笑っていた。

  

しかし、それでも「どんな会社でも会社を整理したければいらっしゃい」という悪徳会社専用の破産専門弁護士が存在するのには驚きで、日本社会に正義はないのかと憂いてしまう。

 

 

そして来月、大阪地裁で債権者集会が開かれるが、どうせ残された金は計画的に処分しているだろうから、免責が決定される事が予想される。事件からすでに一年半過ぎて債権者全員が諦めた頃に開催される債権者集会である。意味不明の決着は悲しい物語であり、今後のいい教訓になったものだ。

 

終わり・・・・・・

 

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