中小企業診断士/行政書士中村事務所

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売却できる店とできない店!

 

 

 

店を売る動機も色々ある。①後継者が不在だから、②第二の創業をしたいから(安定期に入った事業を売却し新たな事業をしようと思った時、③業界の先行きが不安な時、④業績が厳しく回復の見込みがない時、⑤会社が自分の身の丈以上に大きくなり、自分の器では経営できない時、等である。

 

 

 

1)こんな店は売れる

①立地条件に恵まれている、②優良顧客を保有するなど顧客基盤が盤石である、③運営の要となるキーパーソンが存在し、安定運営できる位の従業員をストックしている、④厨房機器や什器備品などにまだまだ残存価値がある。経営者が信頼できる人物である、等である。

 

2)こんな店は売れない

 

①経理がいい加減な店、②簿外債務があっても隠し通そうとする信頼できない社長、③顧客基盤が脆弱で営業力がない。④地域で評判が悪かった店、⑤人材の質と量が共に不足している、等である。衛生管理ができていなかった店を継ぐと店内洗浄が大変でコスト負担も重い。 

 

私は16年前、焼肉店を経営していた。その店はある高齢経営者が体調を崩し、店を続けることが困難となり悩んでおられた所に私が名乗りを上げて無償で譲り受けたのである。

 

 

 

その店も何とか5年間、紆余曲折がありながらぼちぼちと稼がせてもらっていたが、若干、業績が下降気味になっていた時に、その店を是非買収したいという人が現れた。

 

その会社はホルモン焼きチェーンで飛ぶ鳥を落とす勢いの誰もが知る外食チェーン企業であった。焼肉店や中華料理店も経営していたが、このホルモンチェーンに社運をかけるといった強い意気込みで、経営資源も優先配分されていた。

そしてその社長が、私の店が大通りの交差点の2階に立地しているのを見て、またその交差点がいつも渋滞しているのに着目していたらしい。そしてこれだけの渋滞で車に乗っている人達が、必ず二階のこの店に視線を持ってくるほど視認性が高いこの店を評価していたのである。

駅上の渋滞する大通りの交差点の角のビル二階に目立つこの店を是非ともやりたいからと社長自らが来訪されたのである。店の売買は売り手と買い手の交渉力が物を言う。私は、「この店をやりたいのなら譲ってあげてもいいよ」と心の中で強く思いながら相手よりも優位であることの自覚を持ち、虚勢を張って交渉に臨んだ。

 

個人事業主ではあるが、青色申告をしている関係で貸借対照表もきちんと作成しており、その自己資本の額に2年間の営業利益をのれん代として加算して、営業権を主体とした計1.500万ではどうかと、投げかけた。

正直な話をすれば築年数の古い賃借物件、造作物の価値も低下しており、相場と乖離した金額を提示し相手の反応を見ることにしたのだが、若干厚かましかったかなとは思っていた。

 

だが私は買手の社長に「この店の収益は御社にとって大したものではないかもしれません。ですが、これから積極果敢に全国展開しようとの戦略をお持ちの御社にとっては、それを後押しするような視認性の高い広告宣伝に当店の面構えはぴったりです。」とセールスした。

八百屋でバナナやミカンを買うのとは違い、こういう交渉は何回もお互いが擦り合わせをして妥協点を見出すものである。特に買手のデューデリジェンス(買収監査)は用意周到にされるのが通常である。だが私のセールスの甲斐もあり、その社長はその場で即決されたので驚きであった。言ってみるものだなとも思った。

店の売買は本当に売手の交渉力であることを痛感した。店を磨き上げ、買手に価値の根拠を示せるように説得力あるプレゼンが必要である。

 

 

 

私は今まで複数件の飲食店M&Aを仲介してきた。いつも大切にしているのは、売手からすれば子供のように愛してきた自分の店を他人に売るのだから、買手には売手社長に対する配慮が必要だという事である。

 

この人なら自分の店や従業員達を大事にしてくれる筈と言った信頼関係を構築させるように買手には助言している。また売手社長にも、自分ではできなかった更なる成長を売手社長に託すのであるから、売ったら終わりではなく可能な限り関与して応援する姿勢が必要だとも助言している。

 

我々は、売手の経営資源とのシナジー効果や各々の組織文化の円滑な融合など統合作業にも力を注ぎ買収効果の最大化を目指している。

 

 

 

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